AV 出演被害防止・救済法
この法律は、性行為映像制作物の制作公表により出演者の心身及び私生活に将来にわたって取り返しの付かない重大な被害が生ずるおそれがあり、また、現に生じていることに鑑み、性行為映像制作物への出演に係る被害の発生及び拡大の防止を図り、並びにその被害を受けた出演者の救済に資するために徹底した対策を講ずることが出演者の個人としての人格を尊重し、あわせてその心身の健康及び私生活の平穏その他の利益を保護するために不可欠であるとの認識の下に、性行為の強制の禁止並びに他の法令による契約の無効及び性行為その他の行為の禁止又は制限をいささかも変更するものではないとのこの法律の実施及び解釈の基本原則を明らかにした上で、出演契約の締結及び履行等に当たっての制作公表者等の義務、出演契約の効力の制限及び解除並びに差止請求権の創設等の厳格な規制を定める特則並びに特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 (平成十三年法律第百三十七号) の特例を定めるとともに、出演者等のための相談体制の整備等について定め、もって出演者の性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資することを目的とする。 18、19 歳が出演を強要される被害の増加が懸念されたため議論が進んだ
業界では新法の施行前から撮影環境の健全化を進め、違法動画との差別化を図る 「適正 AV」 の考え方が推進されてきた
新法制定議論が盛り上がった際は、業界が 「適正 AV はクリーンで、被害はほとんど存在しない」 と反発
実際のところ、取り組みが道半ばな企業もあり、業界全てがクリーンだとは言い難い
法の内容
性的な映像を制作する者は個人 / 会社を問わず、事前に出演者に契約書を交付して内容を説明するよう義務付けられる 出演者は性別や年齢にかかわらず、映像を公表してから原則 1 年後まで無条件で契約解除が可能
「本意ではない出演を避ける」 ための熟慮期間として、出演の契約成立から 1 カ月、撮影終了後から公表まで 4 カ月間空ける
法の効果や法に対する評価等
新法施行から半年となった 2022 年 12 月、内閣府は政府の取り組みや相談状況を公表 それによると、都道府県と連携して性被害に関する支援を一元的に担う全国のワンストップ支援センターへの相談は、6 ~ 10 月に計 103 件 年代別では 20 代が多い
男性からも相談が寄せられた
うち 70 件は、施行前に結ばれた出演契約を取り消せるかという内容など
施行後の契約に関するものは 12 件
契約の任意解除や映像配信の差し止め請求など、法律の内容に関する質問のほか、心身の不調や人間関係についての相談も
関連
この法律は、公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為を無効とする 90 条の規定その他の法令の規定により無効とされる契約を有効とするものではない この法律は、上記の法律やその他の法令において禁止され又は制限されている性行為その他の行為を行うことができることにするものではない 参考文献